今月、2/23(土)~来月のお雛様3/3(日)迄『Mother-river Homig(マザーリバーホーミング)』(←以下:H)と『Mother-river Welcome(マザーリバーウェルカム)-華麗なる結婚-』(←以下:W)の2つのお芝居を同時上演します。日々、稽古中です。稽古はスパイ探しから始まります。

毎日、一日中稽古場に居ます。幸せだ。
稽古の始めにはゲームをします。
その名もスパイゲーム。物騒な名前です。
公演関係者全員が円座になり、目を閉じます。
作・演出の田上君が円座の外周を歩き数人の背中をタッチします。
タッチされた人はスパイという境遇を背負うことになります。スパイの数は参加人数により3人だったり、先日は40人弱居たので8人ということもありました。
スパイを選び終わると「背中をタッチされた人は周りに気づかれないように顔を上げ目を開けて仲間を確認して下さい。」となります。
周りに気づかれないように顔を上げ目を開き自分の他に誰がスパイか確認します。
この瞬間スパイは運命共同体となり、スパイではない人達に自分達がスパイである事がバレないように振舞わなければなりません。一人でもバレたらスパイの負けです。
「確認できたら目を閉じ顔を下げて下さい。」の指示の後「全員目を開けて下さい。」となり、誰がスパイかを話合っていきます。
目を瞑りながらスパイに選ばないで。良い子にするからお願いよ。と田上君が近づく度に祈っていました。
祈りは届かず背中にタッチされた時「騙すより騙される方が罪深い」そう教えてくれた『ムトゥ踊るマハラジャ』に思考は120%移行します。
騙される方が悪い。闘うしかない。私はスパイ。
全員が目を開けたら三分間、誰がスパイか話し合います。
初めは惨敗でした。『いつもと様子が違う。』とすぐバレて、仲間のスパイ以外は素性を見破り指を差しました。

どんどん推理をすすめて、人の心を動かすのが上手い人が世の中には居ます。
『これこれこうだからこの人が怪しい。』『この人が疑われた時、あの人がかばった。この二人は怪しい。』など人々の心理を読み、その解説をしをひとつにまとめあげ、ターゲットを絞ってしまえる説得力。何だろう?性格なのか?テクニカルか?情熱か?神のご加護か?羨ましい!演劇界にもDaiGoは存在します。
でもこういう頭の回転の速い人は常に怪しくもある。
このゲームは自分が発言する時、スパイでもスパイでなくても自分はスパイではないと申告します。
七人兄弟の四男で焼肉屋店主役の用松(モチマツと読みます)氏と隣合わせた時、こちらは自分はスパイではないともちろん申告します。その直後、他の人には聞こえない声で、もしコレでスパイだったら台詞言わねえからな。とゲームの主旨を無視した公私混同の脅しにも耐えなければ勝ち目はありません。
そういう彼がスパイかも知れない。いや、ヤクザの可能性もある。とその本性を見てしまったからには、私生活での関わり方も考えなければなりません。

この様な事があり、人間不信におちいることは私の責任でしょうか。
演劇界という狭い社会にもこんなにいるのだから世の中にはどれ位のスパイがいるかウカウカしていられません。しかし、スパイにやられたら。それはその人より自分が罪深いからだ。と。そうなるの?ラジニカーント様。
三分たったら会話のやり取りを参考に怪しい人を指差します。一人、左右の手で一人ずつ。二人を差します。
投票後、最多数の票を集めた人がスパイかどうかを告白します。
その人がスパイだった場合、スパイの負けでゲームセット。
その人がスパイでなかった場合、また三分間誰がスパイかを話し合います。そして、最多票集めた人はゲームから抜けないといけません。
ゲームの回数を重ねる毎に最近はしらばっくれる事がうまくなってきました。スパイになってもバレない。汚れた大人になってしまいました。汚れたのは私だけではない。全体的に言える事で。そして真逆に全員が怪しい。誰も信用出来ない円座がそこにはあります。
スパイだったが、スパイである事がバレず勝ち残った時、罪悪感に落ち込みます。
『昌子さんはすぐ分かる。今回は絶対に違う。』そう言って信じ、かばってくれた人もいます。
ゴメン。と心で呟くも。。。でもマサラムービーではお前がいけないんだ。罪深いお前が悪いんだ。だからお前は騙されるんだ!と逆ギレをしないとやっていられない精神状態です。
でも、でも、その逆ギレの甲斐あって、勝ち残った時。やっぱり心が痛い旨を相談した私の娘役の田中美希恵ちゃんは『そういうゲームなんだからいいのだ。』と励ましてくれます。
そして『ここで嘘をついても酷い人だなんて誰も思いませんよ。』と、とても心強い意見を言って慰めてくれた人も居ます。逆に言えば、自分だって同じ立場ならそう思う。ハッとこの言葉に本当に救われたのにそれが一体誰だったのか分からない位ダメージは影響します。
















マザーリバーホーミングヲ『H』、マザーリバーウエルカムヲ『W』トリャクシテヨンデオリマスガ、カンケイシャノカイワデハ、ソノヒハHハヒル1カイダケ。トカ、ヨルノHニマニアエバダイジョウブ。トカ。Hノカクニンジコウニドキドキシマス。HヲWデドウデスカ?
















季節がらこんな事もありました。田上君の指先とスパイに選んだ人の衣類に静電気が走り『バチッ』と音が鳴ったというのです。私は耳が遠い上に自分がスパイになってしまった心のざわつきで全く気付きませんでしたが、その人は仕事にもの凄く厳しい白石舞台監督でした(舞台監督は公演の全てを把握している人です。演出部)。何でも叶えてくれる監督はこんなに気転が利くのだからスパイになったら的確に全員をまくであろう。絶対に上手い。と思っていたのに嘘がつけない様で「自分はスパイではない。信じてくれ。」と口で言っていても全身から出てしまった正直者のオーラと顔の引きつり具合で、すぐバレた。仕事の時と全然違う顔だった。電気も発し全身でこれから嘘をつく意思表示を表した。今まで静電気を発したのは白石監督だけです。
仕事人のプロであり天然である。勝負など挑んでいないがこの人には到底勝てなどしない。ゲームに負けだが人として勝った。白石監督の健全さに改めて信頼を寄せちゃう。一緒だととても心強い。洗濯機の単水栓が緩んでもこの人が一緒だと怖くない。裏方にしてヒーロー。生まれ変わったら一緒になりたい人がまた一人増えた。浮気したらすぐ見破っちゃうぞ。そして先日は差し入れ有難う御座いました。

悔しい。とても悔しいが疑われるとカッと頭に血がのぼる。冷静な判断ができない(血がのぼらなくても冷静な判断などできたためしはない!助けてくれ!)。
一先ず、自分を疑う人がいたらソイツに噛み付いてしまう。しかし、目には目を、は昔から人間の人情ではないのでしょうか?
生まれてすぐ誘拐された七人兄弟の三男役の鈴木燦さんが私を疑った。『昌子さんが怪しい。』と聞こえるや否や反射的になんでそう思うのか?威圧的に聞いた。『顔が疲れているから。』
と。
ショックだ。
聞くんじゃなかった。
そんな疑い方があるのだろうか?
鈴木さんは気持ちの良い人で、何年経ってもキラリ☆ふじみ(東武東上線の鶴瀬)から都内への帰り方を覚えられない私に何十回とナビをしてくれている真の優男だ。日頃の親切には心から感謝する。鈴木さんが居なければ全く用事のない所で路頭に迷っていただろう。鈴木さん、有難う。しかし、だからと言ってソレとコレとは話が別だ。
もしかしたら『スパイに選ばれた心労で』という言葉が抜けていたのかもしれない。ならば、そんな大事な事を抜かした言い方があるだろうか。
物には言い方がある。究極では顔の事は言わなくてもいいのではないか?スパイに選ばれた心労が伺える。そう言えば、年齢を重ねてしまった顔の事にも触れず、更にスパイに選ばれてしまったゆえに出てしまった素直な動揺があるという事は、私の売りである無垢な少女性の向上アピールにも繋がるのではないか?
円座にスパイ疑惑納得の空気が流れてしまわぬ様、スパイではないと主張をしなくてはならない。また顔が疲れているという辱めの、指摘から何とかみんなの記憶を消し去らなければならない。
自分はスパイだから顔が疲れているのではない。今迄生きてきたから顔が疲れているのだ。そうハッキリと怒鳴り、鈴木さんを黙らせた。そして顔が疲れている。という事を自らの口からも滑らせてしまった。
鈴木さんも黙ったが周りのみんなも気を遣い黙った。

時間は残酷だ。
顔が疲れてると人に指摘される日が来るなんて小学生の頃は想像だにしなかった。
この弁明は失敗だったか?このゲームで。というより、この座組では今、私は厄介な腫れ物みたいになっていないだろうか?
恐らくゲームは明日もする。
挽回出来るか?帰りにパックを買いに行く事が挽回に繋がるのであれば、やるしかない。
明日、勝つ為、そして傷付かない為に。

ゲームばかりではない。稽古もしている。
スパイゲームで仲良くなったのか誰も信じられなくなっているのか。
舞台上での私達を確認しに来て下さい。
また、舞台裏も舞台です。
嘘の付けない白石舞台監督による、バックステージツアーがあります。舞台裏見学しませんか?
キラリ☆ふじみならではの企画で、私がお客さんだったら覗いて見たい部分です。
2/24日曜14時の『W』の回と26火曜の14時の『H』の回、舞台愛が溢れ誠実から出来ているこの白石舞台監督のバックステージツアー対象の回です。
前回のバックステージツアーでは白石ファンが出来て何人ものお客さんから一緒に写真を撮りたいというリクエストに応えていました。
それを見てこちらまで誇らしくなる。嬉しくなる。元気を貰いました。
これまでの仕事の面白い話を色々聞かせて貰いました。有名人の話などもあり私が言うのもおこがましいわよね。なのでちょっと勿体無いですが、内緒にしちゃいますが。経験豊富な監督が舞台裏をご案内します。演者だけで舞台は作れないという浪漫を是非知ってほしい。私達が舞台裏でしている事等も感じて頂けると思います。
もし宜しければ終演後お時間ゆるして頂ける様でしたらお申し込みお待ちしております。

そして、前回『TATUYA 3』というブログをアップしましたが、それだけ読んでもなんだか分からない話だったかと思います。
ご縁あって今、これを読んで下さって居る方で『TATUYA 3』しか読んでいないや。という方がいらっしゃいましたらお手数ですが『TATUYA 1』からお読み頂けたら多少は繋がりが明確になる所もあるかと思います。お手隙で気が向いたら是非やってみて下さい。
去年はひとつもお芝居の予定がなかったので筆不精であるという言い訳をしたとしても月に一回位はブログ更新をしようと思っていて、書いてみたら、話が長く一回では書ききれなかったりして、冗長し続きを書いたりしました。
やっぱり一回完結の方がいいな。と思いました。
そして今稽古中の『H』と『W』は熊本の板倉という家族の話で『H』が先に出来て、次に『W』が出来たのですが、私のブログみたいに順番で観ないと訳くちゃ分からんぞ。とはなりませんが、H、Wどちらもご観劇頂けたらアレでコレが!という発見があります。
HとWどっちがお勧めか?と聞かれたりします。それはちょっと答えに詰まってしまいます。
比べる事は出来ないです。この質問は私に限らず他関係者も聞かれている様で『長男と次男どっちが可愛い?』と聞かれているのと同じだ。と。
そうだ。私には長男もいないし次男もいないがこの気持ちはきっとソレだ。と。
聞かれたら、それぞれどんな感じかはお伝えして居りますが、都心からは遠いイメージがあるかもしれません(劇場所在地は埼玉県富士見市のキラリ☆ふじみです)、チケット代もかかるとなると一つに絞らないといけないご事情もあるかと思います。
どちらもお越しをお待ちしておりますが、ご都合、タイミング宜しい方ご観劇頂けたら嬉しいです。
そして、H、W同じ日に公演する日が3日間あります。2/23土曜と2/26火曜と3/2土曜。
昼公演の後、夜公演迄時間が空きますが目の前にららぽーとがあります。セット券あります。
次男(W)が出来た時、長男(H)と一緒に公演出来たらいいなあ。と薄っすら思っていました。
実現できるなんて。幸せです。どちらも愛おしいです。

長男(H)は作演出の田上君のお母さんのご兄弟がモデルになったお話、盗まれた子供が大人になって家族に会いに来る話です。
次男(W)は田上君のご両親がモデルになっております。7人兄弟の末っ子の結婚話と詐欺事件に家族が奮闘します。
稽古場では台本ではこう描いたが実際はこうだった。という裏話も交えて進めています。アフタートークでそういう話が出るか?
アフタートークは2/28木曜の次男『W』14時の回と3/2土曜の長男『H』14時の回です。
田上君はお話が上手だし、作演出にしておくには勿体無い位のイケメンです。道端で困ってる人がいたら放って置けない人情深い九州男児です。

そして遅くなってしまいましたが、2019年明けましておめでとうございます。今年もひとつ宜しくお願い致します。

公演詳細URL貼り付けます。諸々のタイミング、ご都合あわさいましたら。是非。
H、W。ヒップ、ウエスト。整えて待って居ります。
是非いらして下さい。
待っとるよ。

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http://www.kirari-fujimi.com/program/view/564